ホワイトリバー

 ホストマザーが亡くなった。自分が英語があまり話せなかった時から辛抱強く親切にしてもらっていて、会うたびに英語がうまくなったと褒めてくれた。この人は特に早口で何を言ってるか分からない時があったが、最近は普通に会話ができるようになっていたので感慨深いものがあった。その人当たりのよさと心の広さを多くの人間は思い出すだろう。

 やけに静かな夜、たまたま学校のそばを川沿いに歩いていた。外灯の薄明かりの中、このホワイト川を力強くまたぐ橋は、いつもと違い立派で威厳があるようだった。その下には静かに蠢く黒い点々がかすかに見えた。それは鴨の大群だった。このクソ寒い中に…。風はなく、川の流れは穏やかだ。水が橋や町をきれいに反射させて、美しく異様な雰囲気を出した。遥か上流からきたこの川の水は、いくつかの川と合流したあとさらに遥かとおく、アメリカ南端のメキシコ湾へそそぐ…。