Sくんのご両親の訪問 2

Sくんのご両親は水曜日にいらっしゃって、昨日、帰って行った。その間、通訳や移動の手伝いなどさせてもらった。

Sくんのお気に入りのレストランへ行き、ゆかりのある人たちにも会った。ホストファミリーや親友たちと命日には花を供えに行った。

ご両親とはお話をさせてもらい、Sくんが子供の頃から人を助けることに関心があったこと、アメリカへ来るきっかけになった話などしてもらう。亡くなってしまってから、こうやってSくんの生い立ちを知るのは妙な気分だ。親近感が湧き、改めてすごい人だと思う。

たくさんの人のSくんとの思い出などを通訳して、その過程で様々な話をきいた。そうしているうちに、いつの間にか、もともと自分がもっていたSくんとの大事な思い出が薄れてしまい不安になる。通訳の人にはよくあるのかしらないが不思議な現象。ワキ役に徹しすぎたのは反省するところかも。

今回、一つ印象に残った出来事がある。それは、Bくん(ホストブラザー)がSくんのご両親へ宝物のメダルをあげたこと。そのメダルは元軍人のBくん(怪我で除隊)が軍の厳しい訓練のあとに上官(Drill Sergeant)からもらったもの。優秀な成績を収めた2人にだけ与えられるかなり名誉なものだと思われる。

これの意味するところは大きい。BがSくんのことを家族と同然に大事に思っていたこと。そうさせるほどの信頼関係を築いていたSくんは改めてすごいと思うし、Bの寛大さにも頭が下がる。戦後70年、個人レベルとはいえ、自国のメダルを敵国だった人間にあげたという事実は感慨深い。歴史的な瞬間に立ち会ったという気分。