Simón del desierto (1965)

邦題、「砂漠のシモン」。シュールレアリズムを追求した、巨匠、Luis Buñuelの監督。ネタバレあり。

シュールレアリズムに傾倒していて、Buñuelファンの友人、A先生に貸してもらった作品。A先生は、自分の映画の趣味を共有するのに熱心で、これ以外にもたくさん借りている(DVDでいっぱいのカバンごと渡された)。

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この映画の舞台は、中世のどこかの砂漠の真ん中。そこにある支柱の上にシモンが立って苦行をしている。そこで手を失った人を助けたり、自身過剰な若者を諭したりする。苦行の間に適当な服装のサタン(悪魔)が様々な姿でシモンを誘惑するが、シモンはそれらを切り抜けていく。ここまで無駄に長く、話になんの変化もなく、とてもつまらない。。

話が動くのはサタンが、女の姿でシモンを3度目の誘惑している時。何故か上空に中世ではありえないはずの飛行機が飛んできた。すると次の瞬間、シモンとサタンは大都会New York、マンハッタンのクラブのテーブル席にいた。まわりはアップテンポの曲にのせて激しく踊る楽しそうな若者たち。

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感想:中世の苦行の話を長くつまらないが丁寧に作っていた。最後の数分で意味もなく大都会に行ってしまうところは話を台無しにするのにすごく効果的な感じだった。爽快だ。これはファンが多いのもわかる。DVD付属のBuñuel監督のインタビュー記事もとても面白い。監督の中世の時代への知識は深く、それぞれのシーンへの意図があり博学さを感じる。


そこで、記者は映画の中の一番の疑問について質問をする。

記者:「なぜ最後のシーンでNew Yorkに行ってしまうんですか」
監督:「分からない。」

何の説明もなく一言で答えた。

インスピレーションに従ったことがシュールレアリズムの表現であり、それが意味をなすかは二の次なのだ。